登記の住所はどこにすべき?禁止事項とメリデメを知る

法人登記の手続きの際、必ず決めることになる「本店所在地(会社の住所)」。

自宅や賃貸オフィスなど、いくつかの選択肢があります。

法人としての信用を確保するためには、慎重に選ばなければなりません。

今回は、住所を登記する場所ごとのメリット、デメリットと禁止事項をそれぞれ紹介していきます。

【参考】定款とは?記載事項や認証方法をざっくり解説

 

登記の住所

 

法人登記の住所と場所はどこにする?

会社を立ち上げる際、必ず行うことになる法人登記の手続き。

申請書類の中には「本店所在地」、つまり、会社の住所を記す項目があります。

既にオフィスや事務所が確保できていればそれほど悩む必要はないかもしれません。

しかし、

  • 事業の本拠地が決まっていない
  • そもそもオフィスを借りる予定がない

といった場合、どこの住所を記載するべきか分からなくなってしまうこともあるでしょう。

実は、「同一商号、同一本店(すでに登記されている商号、住所を使うこと)の禁止」というルールさえ守れば、登記の住所は基本的に自由に設定できます。

しかし、登記における会社の住所は事業の信用性に大きく関わることでもあります。

「どこでも良い」と軽い気持ちで決めると損をしてしまうこともあるかもしれません。

場所ごとのメリット、デメリットをしっかり理解しておく必要があるのです。

【参考】合同会社の設立はお得?メリット3つとデメリット2つを解説!

 

登記の住所を自宅にする場合

まず、住所を自宅にするメリットを見ていきましょう。

 

必要書類が自宅に届く

自宅の一部を事務所やオフィスとして利用するメリットは大きいものです。

朝起きたらそこが仕事場で、すぐに事業を始められることもできます。

法人の税金関係をはじめとする各種の書類も、自宅に届くので、楽です。

わざわざ物件を探す必要もありません。

デスクやイス、インターネット、パソコンなど最低限の設備があれば事業を始められます。

初期費用や固定費も抑えられるでしょう。

 

光熱費、通信費の一部を経費にできる

自宅を公式なオフィスとして利用する場合、電気やガス等の光熱費、インターネットや電話の通信費の一部を経費として計上できます。

自宅が賃貸物件の場合には、家賃の一部も経費にすることができます。

 

次に、デメリットについて見ていきましょう。

 

業種によって自宅では登記できないこともある

不動産業や建設業などの一部の業種では、自宅の住所で登記できません。

また、別途許認可が必要となる場合があります。

また賃貸物件の場合には、業種要件をクリアしていたとしても、物件の利用規約上、商業用の使用が禁止されていることもあります。

注意が必要です。

 

プライベートとの境界がなくなる

クライアントと接する機会が多い業種の場合は要注意。

自宅を事務所にすると、プライバシーが損なわれるリスクが発生します。

来客等がない業種でも、登記した住所は公になってしまいます。

Webに乗せていなくても、

ことで、法人の住所は分かってしまうのです。

【参考】一般社団法人とは?株式会社より簡単に設立でき利点も多い?

 

登記の住所を賃貸オフィスにする場合

それでは、住所を賃貸オフィスにするメリット・デメリットを見ていきましょう。

 

社会的信用を得やすい

賃貸オフィスを契約してその住所で登記することは、最も一般的かもしれません。

特に違和感なく受け止められ、事業者としての社会的を得やすいでしょう。

 

物件の選択肢が広い

賃貸オフィスの場合、市場に出回っている物件の数や種類が非常に豊富。

立地などの選択肢も広いため、事業運営していくために最適な場所を選べます。

 

次に、デメリットについても見ていきましょう。

 

設備投資、初期費用の負担が大きい

賃貸オフィスを利用して事業を始めるとなると、必要な備品や設備を一から揃える必要があります。

そのため、設備投資や初期費用の負担が大きくなりがち。

また、賃料や光熱費等の固定費、ランニングコストも他の場所と比べて割高になります。

一方で、「そのような費用をしっかり払えている」ということが、信頼につながっているという側面もあります。

【参考】脱サラ起業するなら30代がベスト?理由と失敗回避のコツ

 

登記の住所をレンタルオフィスにする場合

それでは、住所をレンタルオフィスにするメリットについて見ていきましょう。

 

賃貸オフィスよりも初期費用を抑えられる

レンタルオフィスの場合、仕事に必要な最低限の設備があらかじめ整っています。

そのため、賃貸オフィスに比べると初期費用の負担を大幅に抑えられるでしょう。

 

士業も含め、あらゆる業種に向いている

レンタルオフィスは基本的に「物理的な個室のオフィス」と見なされます。

そのため、士業や不動産業など、事務所の設置要件がある業種でも登記できることがあります。

 

次に、デメリットについても見ていきましょう。

 

セキュリティ、プライバシーの懸念がある

レンタルオフィスでは、

  • 備品の持ち出しが制限されている
  • 他の利用者と共有使用になっていたりする

といったこともあります。

そのため、ある程度利用に制限があると言えるでしょう。

セキュリティやプライバシーについても懸念が残ります。

【参考】起業の準備一覧!14項目の最低限やるべきことをリストで整理

 

登記の住所をバーチャルオフィスにする場合

それでは、住所をバーチャルオフィスにするメリットについて見ていきましょう。

 

コストを抑えられる

何といってもこれが最大のメリットです。

バーチャルオフィスでも、サービスに対するある程度費用はかかります。

しかし、備品を揃えたり設備を整えたりする必要はありません。

毎月数千円から利用できるケースもあり、メリットは大きいでしょう。

 

都市部など好立地に住所をおける

バーチャルオフィスの1番のメリットは、都市部などの好立地に住所を置けることです。

登記した住所は、会社のHPや自分の名刺に記載することもできます。

よって、都心の大きなビルを、本社があるビルとして扱うことができるのです。

「作業スペースは必要ないが社会的信用が欲しい」という方におすすめかもしれません。

しかし、このご時世。

「小さな会社に見えるのに、随分立派なビルに入っているんだな」

と思われると、検索をかけられてしまうこともあります。

そこっでバーチャルオフィスが出てくると、逆に少し恥ずかしいかもしれません。

 

次に、デメリットについても見ていきましょう。

 

登記できない業種もある

バーチャルオフィスは、実体を持たないオフィスと見なされます。

そのため、物理的な事務所の設置要件がある業種の場合、登記はできません。

【参考】個人事業主なら提出すべき開業届の基礎知識と2つのメリット

 

登記の住所を上手く見せて信頼を勝ち取ろう

登記の際に記入する会社の住所は、後から変更することも可能。

しかし、当期の変更には、数万円の手数料がかかってしまいます。

また、様々なところで住所変更の手続きが必要になるため、手間も膨大です。

しかし、どこに住所を置くかによって、事業の信用性やランニングコストも大きく変わってきます。

登記をする前に、場所ごとのメリット、デメリットを理解した上で適切な事業の拠点を選びましょう。

【参考】法人化すべき?個人事業主がいい?起業家が考えるべきことは

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