比較的最近出てきた言葉、「カスタマーサクセス」。
かつては、「カスタマーサポート」という言葉の方が一般的であったことから、
「何のことやら良く分からない」
「言葉としてスッと頭の中に入ってこない」
という人も少なくないようです。
ここでは、両者の比較をしながら、カスタマーサクセスの概念の重要性や事例についてご紹介していきます。
カスタマーサクセスとは?
カスタマーサクセスとは、顧客がサービスや商品を実際に購入した後に、何かしらの「成果」を得ること、もしくは目的を達成するという概念を意味します。
成果=感動体験というケースもあることから、しばしばカスタマーエクスペリエンスの概念と並べられることもあります。
実際には、商品やサービスを販売して終了ではなく、消費者のその後を配慮し品質改善やフォローを行い、顧客の満足度を向上させるためのあらゆる施策を指し、そのために顧客をサポートする組織を、そう称することもあります。
カスタマーサポートとの違い
近しい言葉として、カスタマーサポートという言葉がありますが、両者には相違があります。
カスタマーサポートは、トラブルや問題が発生した場合、消費者からの要望があった場合、受動的に対応するのに対し、カスタマーサクセスはサービスを提供する前に、能動的に実施する施策、または、能動的にアクションを起こす部署を指します。
元々カスタマーサポートと称されていた取り組みが、成果、目的の達成のため、カスタマーサクセスに発展したという側面もあり、実際にやっていることはカスタマーサポートと近いのが実態だったりもするようです。
カスタマーサクセスが注目される背景や重要性
カスタマーサクセスの概念があらゆるビジネスの現場において注目されている背景として、SaaSの広まりが大きく影響しています。
SaaS(Software as a Service)とは、PCやスマホなどの端末にインストールするのではなく、オンライン上で利用するサービスを指します。
代表的なサービスとしては、サブスクリプション型の動画、音楽配信サービス、クラウド会計ソフト、チャットサービス、などが該当しますが、SaaSのようなビジネスモデルにおいては、いかに顧客を維持し、中長期的な収益を得られるかが重視されます。
それを実現するために、カスタマーサクセスの概念が必要となるのです。
カスタマーサクセスには、目的の達成や感動体験の実現など、顧客側のメリットの追求だけではなく、サービスや商品の品質向上、維持、改善、認識のズレ防止など「課題の発見」という企業側のメリットを追求する目的もあります。
カスタマーサクセスの主な成功事例
それでは、実際の成功事例について、BtoB、BtoCそれぞれの分野から見ていきましょう。
Adobe (BtoB)
「Illustrator」「Photoshop」等のソフトウェアでお馴染みのAdobe。
個人をはじめ、技術系の法人ユーザーのカスタマーサクセス実現のために、様々なサービスを展開しています。
まず、クラウド上で各種サービスを提供することで、ユーザーは常に最新バージョンでの利用が可能となります。
その結果、取引先や納品先とのバージョンの相違によるファイル互換に関する問題やトラブルを防止できます。
また、多様なツールのラインナップを確立しており、他ツールとの連携や機能活用の勉強会の実施など様々な取り組みを実施しています。
アマゾンエコー (BtoC)
アマゾンエコーとは、物流大手Amazonが展開するサービスで、「アレクサ」という単語に呼応し、ニュースや音楽、天気予報や検索結果の読み上げ、他の家具との連携ができるスマートスピーカーです。
音楽再生に関して、以前はAmazon Prime Musicのみ再生可能でしたが、現在ではSpotifyやApple Musicなど他の配信サービスにも対応しています。
また、「アレクサ!〇〇して」と大きな声を出さなくても,ささやく程度で反応する「ウィスパーモード」と言った独自の機能があるため、あらゆるシチュエーションで活用できます。
スターバックス (BtoC)
世界中に店舗を構えるコーヒーチェーン大手の「スターバックス」はカスタマーサクセスの実現を果たしたBtoCにおけるビジネスモデルの最も代表的な例と言えます。
無料Wi-Fiの設置をはじめとする利便性の追求はもちろんのこと、サードブレイス、第三の場所という特別空間の演出によって、学生、主婦、ビジネスマン、家族連れ、あらゆるニーズに対応しています。
また、カップにメッセージを添えるなど、独自のフレンドリーな接客の実施、季節限定商品の販売など、顧客の感動体験を実現するための要素が至る所に盛り込まれています。
【参考】4C分析のフレームワークをスターバックスを事例に解説!
Netflix (BtoC)
数ある動画配信サービスの中でも、全世界で圧倒的シェア、認知度を誇るNetflixもカスタマーサクセス実現のための要素がサービスの中に盛り込まれています。
例えば、コンテンツの音声や字幕が英語、日本語、中国語、韓国語など、多言語に対応しているため、視聴する国やユーザーにとって最も利便性のある形で視聴することができます。
また、オリジナルコンテンツの配信や同時視聴できるデバイスの数や画質による多様なプランが用意されていることもNetflixの魅力の一つです。
まとめ
特にSaaSをはじめとするサブスクリプション型のビジネスにおいて、カスタマーサクセスは今後ますます重要になる概念です。
成功事例を参考にしつつ、顧客を成功体験、感動体験に導くための施策作りやフィードバックの実施などのサポート体制を確立していきましょう。