投資用の物件を探していると、「再建築不可物件」を目にすることも多いでしょう。
「再建築の予定はない」と思い、気にしない人もいるかもしれません。
しかし、あまりよく考えず購入しても大丈夫なのでしょうか。
今回は、再建築不可物件の良いところや、デメリットなど、最低限知っておきたい基礎知識について解説していきます。
【参考】遊休地を有効活用する上で考えるべきポイント4つと注意点3つ
再建築不可物件とは?
再建築不可物件とは、現在建てられている建物を取り壊してしまったとしても、新しい建物を建てられない土地や不動産物件を指します。
しかし、なぜ再建築ができないのでしょうか。
理由は様々で、自治体ごとの条例が関係していることもあります。
しかし、大半のケースは、建築基準法の「接道義務」に違反しているためです。
接道義務とは
接道義務とは、救急車や消防車などの緊急車両が通行できるように、一定の道幅を確保するためのルール。
都市計画区域と準都市計画区域内で新たに家を建てるためには、このルールを遵守しなければなりません。
建築基準法ができる前や、都市計画区域に指定される以前に建てられた物件の多くは、再建築不可物件に該当すると言われています。
【参考】不動産投資詐欺の主な手口4パターンと騙されないための対策
再建築不可物件の主な特徴
それでは、再建築不可物件の主な特徴について見ていきましょう。
1、そもそも道路に全く接していない
「そんなことあるの?」と思われるかもしれません。
しかし、世の中には、周囲を他人の敷地で囲まれているところがあるのです。
もちろん、他人の敷地を通らなければ外に出られず、救急車も消防車も助けに来れません。
このような敷地には建物を建てることは出来ないのです。
2、道路には接しているが、接道幅が2M未満
では、道路に接していれば何でも良いかというと、そんなことはありません。
最低でも、2メートルは接道していなければならないのです。
接道幅が2メートル未満だと、建築は不可となります。
3、建築基準法上の道路に接していない
一応、建築基準法には「道路」の定義があります。
例えば、
「これは道路と呼べるのか?」
「単なる、ちょっとした空き地でしかないのではないか?」
というようなところは、道路の定義に当てはまらない可能性があります。
再建築不可物件が人気の理由
しかし、「再建築できない」という制限があるものの、再建築不可物件は、次の3つの理由で不動産投資の世界において今なお人気があり、頻繁に売買されているのも事実。
その理由について見ていきましょう。
1. 不動産価格が割安だから
再建築不可物件は、そうでない一般的な不動産物件と比べて割安です。
もちろん、「建て替えができない」「増改築ができない」という制限があるのが理由。
その土地の所有者はすぐにでも処分したいと考えているケースが多く、周辺の相場よりも割安になるのです。
お得に物件を取得することで、投資における利回りも良くなるでしょう。
2. 固定資産税や都市計画税などの税負担が軽いから
再建築の可否にかかわらず固定資産税や都市計画税などの税負担は発生します。
しかし、再建築不可物件は、土地の評価額が低いため、それらの税負担も軽くなります。
そのため、一般的な物件と比べて物件の維持費も安くなるのです。
3. 一定範囲のリフォームは可能だから
その内容や規模は限られますが、一定の範囲内なら再建築不可物件でもリフォームが可能。
例えば
- 水回りの入れ替え
- 壁紙、フローリングの張り替え
- 10平米以内の増築
など、建築確認審査が不要なリフォームはできます。
【参考】借地権付き物件って実際どう?所有権付き物件と比較してみる
再建築不可物件に投資する際のデメリット
再建築不可物件を購入する際に気をつけたいデメリットは以下の通りです。
1. 建て替えができない
一番のデメリットは何と言っても建て替えができないことです。
リフォームや増築のための建て替えに限らず、火災や地震、台風などの災害によって建物が倒壊してしまった場合でも建て替えが認められません。
2. ローンの審査に通りにくい
再建築不可物件は、担保としての価値がそもそも低いもの。
そのため、銀行のローンを組んで購入しようとする場合、審査が厳しめになります。
場合によっては、そもそもローンの利用が認められないこともあるでしょう。
【参考】融資面談対策!不動産投資初心者必見のよく出る質問と心構え
再建築不可物件のデメリットを補う
デメリットゆえ、不動産投資において様々な制約が課されてしまう再建築不可物件。
しかし、実は次の措置を講じることによってそれらのデメリットを補えます。
1. 敷地の一部をセットバックする
セットバックとは、「自分が所有している土地の一部をみなし道路として明け渡し、建築基準法の接道義務をクリアする」ための手続き。
もちろん、物件の敷地は、みなし道路として明け渡した分、小さくなってしまいます。
しかし、セットバックを行うことで増改築などを可能にするということもできます。
2. 隣接地も同時に購入する
もし可能であれば、再建築不可物件を購入する際には隣接地も同時に購入しましょう。
一方の物件が接道義務を果たしていなくても、隣接地がその基準をクリアしていれば、隣接地を同時に購入することで、基準をクリアできます。
3. 43条但し書き申請をする
以上の2つの措置が難しい場合、43条但し書き申請と呼ばれる手続きを検討します。
この、「43条但し書き申請」とは建築審査会の許可を得るための手続き。
無事許可が降りれば一般的な物件と同じように増改築や再建築ができるようになります。
【参考】賃貸経営の差別化戦略!競合に負けないためのアイディアは
再建築不可物件についての理解を深めよう
再建築不可物件は、一般的な物件と比べて制約が多いもの。
不動産投資においてもリスクが生じるケースが多いのは事実でしょう。
しかし、デメリットをしっかりと把握した上で必要な措置を講じればそれらを補うことも可能。
しっかり知識を身につけた上で不動産投資を有利に進めましょう。