フレーミング効果とは?表現や焦点を変えて印象を変える技術

たとえ意味は同じでも、表現の仕方、伝え方によって、その捉え方は変わってきます。

更に、その違いが、意思決定や購買行動に大きな影響を与えることもあります。

ちょっとした表現の機微が意思決定に影響を与えるとしたら、それに鈍感なマーケターは、「マーケター失格」です。

今回は、フレーミング効果についてその意味やメカニズムを踏まえた上で、ビジネスシーンにおける活用例についてご紹介します。

【参考】ディドロ効果とは?「揃えたい」心理をマーケティングで活用

 

フレーミング効果

 

フレーミング効果とは?

フレーミング効果とは、同じ事柄でも、その伝え方、表現方法を変えるだけで、捉え方や受け取る側の印象が変わる心理現象を指します。

語源となる「Flame(フレーム)」には「枠組み」という意味があります。

これ自体は、比較的馴染みのある言葉かもしれませんね。

たとえば、同じ風景の写真を撮る場面を想像してください。

  • 引きで枠を広めに設定し、風景全体を撮るのか
  • 枠を狭くして、ある特定の物体にぐっと焦点を絞るのか

このような違いで、写真の印象はぐっと変わってきますよね。

そのように、捉え方次第で印象が大きく変わることに由来しています。

元々は認知心理学や行動経済学などの学問の分野で広く認識されていた現象。

しかし、近年においては、ビジネスシーンにおける消費者の意思決定や購買意欲に影響を与えるための手法として広く取り入れられています。

 

フレーミング効果の例:「コップの水」

よく耳にするフレーミング効果のとして例として「コップの水」があります。

水が半分注がれたコップを形容する際に、どう表現するか。

  • 「もう半分しか残っていない」
  • 「まだ半分も残っている」

意味は同じでも、少し表現を変えるだけで、捉え方や印象が変わってきますよね。

このように、フレーミング効果は非常に身近なところにある現象。

 

フレーミング効果のメカニズム

それではなぜ、そのような現象が起きてしまうのでしょうか。

そのメカニズムについて考えていきます。

元来、人は置かれている環境や状況によって価値観や基準、印象が変わるという性質を持っています。

それらは主に、以下の2つの要素によって左右されると言われます。

  • 「ポジティブ、安定した環境」
  • 「ネガティブ、リスクを伴う環境か」

これを先程の「コップの水」例に当てはめると、

  • 喉がカラカラの人は「半分しか残っていない→まだ飲み足りない」と感じる
  • すでに喉が潤っている人は「半分も残っている→もう十分だ」と感じる

といった具合で、受け止め方が変わってきます。

このようなメカニズムを十分に理解した上で、人が置かれている状況や価値観、現状を把握し表現の仕方や強調ポイントを変えれば、人の意思決定や行動に大きな影響を与えられるのです。

【参考】カリギュラ効果とは?を基礎から解説!マーケターは閲覧禁止

 

ビジネスシーンにおけるフレーミング効果の活用例

それでは、フレーミング効果の実際の活用例についていくつか見ていきます

 

「無料」の表示

マーケティングにおけるフレーミング効果の最も典型的な例として「無料」表示があります。

たとえば、

  • アパレルショップなどで目にする「1buy 1free」
  • フィットネスクラブなどの「今入会すると3ヶ月分の会費が無料!」

と言った表示、宣伝があります。

単純に

  • 「半額」
  • 「〇〇%OFF」
  • 「〇〇円引き」

と表示するよりも「無料」と表示する方がお得感が増したような気になります。

よって、それを見たお客の印象も変わり、行動に影響を与えるとされます。

 

おとり販売、セット売り

小売店でよく使われる「おとり販売」もフレーミング効果を狙った常套手段の一つです。

おとり販売とは、ある特定の商品を買ってもらいたい時に、その商品の近くにコスト割れの価格をつけた商品、もしくは激安商品など目立つ物を陳列し顧客の注意を引くという手法です。

また、

  • 商品Aは1000円
  • 商品Bは2000円
  • ABまとめ買いの場合は2800円

と言ったように、調理器具などのまとめ買いをお得に演出するセット売りも一例です。

 

分割払い表記

また、通販番組やスマホ販売、サロンなどの料金支払いの分割払い表記もフレーミング効果が使われています。

たとえば、本体代金12万円するスマホを販売したいケース。

「12万円」ではなく「月々たったの1万円!」といった表記を見たことがある人も多いでしょう。

最終的な支払い金額は同じですが、手が届きそうな、安いような印象を与えられるのです。

 

ポイント還元、次回から使えるクーポン券の配布など

大手家電量販店でよく用いられている手法として、ポイント還元があります。

本体価格の数%をポイントとして獲得できる、といった類の仕組みです。

ポイントを獲得したら、次回以降の買い物で、主に1ポイント=1円として使えます。

ヨドバシカメラ等が活用している代表的な施策です。

これは、その場で現金による値引きをするのではなく、あえてポイントで還元することにより、リピート客の獲得や更なる消費拡大に繋げるのが狙い。

また、ファストフード店などでは、次回から使えるクーポン券を配布することで、次回来店のきっかけを作ることができます。

それによって、関連メニューやサイドメニューの注文を得やすくなるのです。

【参考】スノッブ効果とは?他人を気にする心理を活用して集客倍増を

 

まとめ

フレーミング効果を実際にビジネスシーンに活用する際には、

  • キャッチフレーズ
  • 数値
  • 表記の仕方

等にによって、具体的にどのようなイメージを消費者に与えられるのか、それを予め把握することが重要です。

上手く活用できれば、同じ商品でもより価値のあるもの、より魅力のあるものとして演出できます。

そうすることでより多くの集客が期待でき、マーケティング施策はより実りあるものになるでしょう。

【参考】ウィンザー効果とは?実践法と成功のための注意点3つを解説

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