日本は間もなく空前の超高齢化社会に突入することとなります。
人々のライフスタイルはもちろん、ビジネスシーンにも大きな変化が現れるでしょう。
年金制度の維持も困難さを増すとみられ、働き口を探すシニアの数は今後も増えそうです。
これからは、シニア人材を上手く活用することが、事業を成功させるカギになる、そんな時代が来るかもしれません。
今回は、これから活躍が期待されるシニア人材について、雇用時のメリットや注意点、優秀な人材の見つけ方をご紹介します。
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シニア人材とは
シニア人材とは、比較的高齢でありながらも、まだ労働力として参画する能力のある人材のことを指します。
ここでは、60歳以上の人材を「シニア人材」として話を進めます。
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高齢化問題はピンチかそれともチャンスか
ご存知の通り、日本の企業はこれから超高齢化社会に直面することになります。
人手不足などあらゆる諸問題がこれからさらに深刻化することでしょう。
一方で、不安を前に「元気なうちは働きたい」と思うシニア層も増えてきているようです。
人生100年時代に向けて、
- 定年廃止
- 70歳までの定年延長
- 継続雇用制度の導入
等に向けて、政府も動いています。
まだまだ働けるシニア層と、これからどのように向き合っていくか。
これは、企業の将来を左右する重要なことです。
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シニア人材を雇用するメリットと注意点
それでは、これからの時代にシニア人材を雇用するメリットについて見ていきましょう。
豊富な知識や経験を企業の成長に活かせる
シニアは若手に比べて機動力や活力という面で劣後する可能性があります。
しかし、その分、これまで培ってきた豊富な知識や経験を備えています。
シニア人材を採用し、十分に生かせる体制を整えれば、企業の成長や利益にきっとつながるでしょう。
若手社員への教育、優秀な人材の育成ができる
豊富な知識や経験は企業だけでなく、若手社員にも良い影響を与える可能性があります。
ベテラン社員と一緒になって働くことによって、知識や経験を受け継ぎ、次世代のリーダーや優秀な人材の育成に繋がるということも期待できます。
助成金を利用すれば採用コストが割安になる
シニア人材受け入れに際し、一定の条件を満たせば、助成金を受け取れることもあります。
例えば、
- 60〜65歳未満の就職困難者を受け入れた際にもらえる特定就職困難者雇用開発助成金
- ハローワークを介してシニア人材を受け入れた際の特別奨励金
- 定年引き上げや雇用管理制度の整備をした際の65歳超雇用推進助成金
等があります。
これらを積極的に利用することで、現役世代を雇用するよりもコストが割安になる可能性もあるでしょう。
一方で、良いことばかりとも限りません。注意が必要なこともあります。
健康リスクや社会保障料の負担の増加
シニア人材は、どうしても、その年齢ゆえの健康リスクが伴います。
ケガや病気にかかりやすくなり、急に穴が空いてしまうこともあるかもしれません。
そうすると、業務に支障が出たり、周りに迷惑がかかったりすることがあります。
通院する機会も増えるため、社会保険料の負担が大きいのも無視できません。
ITリテラシーの欠如、デジタル技術への順応が難しい
ビジネスのあらゆる場面で、業務効率化や生産性向上のため取り組みが進められています。
AI、ロボット、ITツール導入が進み、その流れはこれからも更に加速すると言われています。
これは、シニア人材にとってマイナス要因となり得ます。
先端ツールを使いこなしていくためには、ITリテラシーが不可欠。
デジタル化など変化に順応することが困難であったりするケースが多いためです。
その点において企業側に余計な教育コストがかかったりすることは、覚悟しておかねばならないかもしれません。
社内での扱いが困ることも
特に新規のシニア人材を採用する際、社内での扱いに困ることがよくあります。
というのも、シニア人材の中にはやたらプライドが高い人や頑固な人、自分のやり方を押し付けてくる人が少なくないからです。
経験やスキルも重要ですが、性格や考え方、社内カルチャーにフィットするかも重要。
これらの点もしっかりと見極めた上で選考する必要があります。
【参考】テレワークの導入と同時に取り組むべきセキュリティ対策6つ
優秀なシニア人材の見つけ方
シニア人材を見つけ方としては、会社独自の求人を出す以外に以下2つの方法があります。
ハローワーク経由で見つける
人材を見つける際は、求人広告を出したり、エージェントを使ったりするのが一般的です。
しかし、シニア人材の場合はハローワークを活用する方がおすすめかもしれません。
シニア人材は昔ながらの人が多く、良い経歴の人がハローワークで応募してくることも珍しくありません。
当社も、ハローワークで応募したことがありますが、シニアの応募はたくさんあります。
とは言え、本当に優秀な人材であれば、人脈を使って既に他の企業で働いているのが普通。
掘り出し物を見つけるつもりで辛抱強く探していきましょう。
シルバー人材センターを利用する
各自治体には、シニア人材を専門に扱う公益財団法人のシルバー人材センターがあります。
正規雇用ではなく、業務委託や派遣という形なのが特徴。
案外(?)、優秀な人が多く集まっています。
まずは、お試し的な感覚でシニア層に仕事を依頼し、いい人がいたら正規雇用を検討する、というのも一つの手です。
【参考】トライアル雇用とは?「お試し」から始める人手不足の打開策
まとめ
高齢化問題は企業にとってネガティブな影響を与える可能性があります。
しかし、それをチャンスと捉えて働ける優秀なシニア層を受け入れれば、人手不足の解消や若手社員に良い刺激を与えられることもあります。
助成金や各制度を利用し、シニアでも働きやすい職場環境を作りながら、シニア人材を積極的に受け入れていきましょう。