ウェルビーイング、という言葉を、ビジネス界隈でも耳にする機会が増えてきました。
「健康経営」や「ワークライフバランス」と言った単語と一緒に使われることが多い言葉。
ウェルビーイングは、それらを実現させるための重要なヒントの一つでもあります。
そして今、ウェルビーイングが世界中で注目されている理由や、それを実現するための主な取り組みについて紹介します。
ウェルビーイングとは?
ウェルビーイング(Well-being)には、「幸福」や「健康」と言った意味があり、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを示す概念として使われています。
元々は社会福祉の分野における専門用語の一つとして用いられていました。
しかし、近年、ビジネスシーンを含む幅広い分野で頻繁に用いられるようになりました。
ウェルビーイングの種類
世界各国の世論調査を行うギャラップ社の定義によると、ウェルビーイングには、
- キャリア
- ソーシャル
- ファイナンス
- フィジカル
- コミュニティ
の5つの要素があるとされています。
キャリア
まず、「キャリア」とは、仕事と育児、家庭、プライベートとのバランスがよく取れた状態を指します。
ソーシャル
次に、「ソーシャル」は職場の上司や同僚、私生活の友人との人間関係が良好な状態。
ファイナンス
そして、「ファイナンス」は、自分で生計を立て、経済的に安定している状態。
フィジカル
「フィジカル」は心身の健康が保たれている状態を指します。
コミュニティ
最後に、「コミュニティ」とは、家族や友人、勤め先の企業と良好な関係を築けている状態を指します。
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ウェルビーイングが注目される背景
ビジネスシーンにおいて、ウェルビーイングが注目される主な背景について見ていきましょう。
1. 価値観、働き方の多様化
まず、ウェルビーイングという言葉が、ビジネスの場でよく用いられるようになった理由の一つに、働く人の価値観や働き方の多様化が挙げられるでしょう。
- 複数の職を兼業したい
- 子育てしながらキャリアアップを目指したい
- 海外で働きたい
など、一昔前と比べると、仕事に対する価値観や働き方は大きく変わりつつあります。
そして、社会全体でそれを認めようとする動きも活発化してきています。
性別や国籍、ライフスタイルを問わず、誰もが働きやすいと思える職場環境を築くためには、ウェルビーイングの実現が必須なのです。
2. 人材の流動性の高まり、人手不足の発生
また、ウェルビーイングは、働く人はもちろんのこと、企業にとっても大変重要な概念です。
終身雇用が終焉を迎えたと言われる時代。
1つの会社に囚われずに、転職を繰り返しながらキャリアを築いていくというスタイルが、新しい働き方として定着しつつあります。
それに伴って、企業にとっては、人材流失のリスクも高まってきています。
十分な人手を確保するため、人材を定着させるためのアピールポイントの一つとして、ウェルビーイングを実現するための各種取り組みが企業に求められるようになったのです。
3. SDGsの認知拡大
SDGsとは、2015年9月に開催された国連サミットで採択された、世界共通の持続可能な開発目標のことです。
2030年までにより良い世界を目指すため、17の国際目標が定められました。
そのうちの一つに「全ての人に健康と福祉を」という項目が設けられています。
それにより、ウェルビーイングの考え方がビジネスシーンを始め、日常のあらゆるシーンに広まるようになったのです。
4. 新型コロナウイルスの流行による健康意識の高まり
2020年の後半から世界中で猛威を振るった、新型コロナウイルスの感染拡大。
これも、ウェルビーイングが重視されるようになったきっかけの一つと言えるでしょう。
テレワークなど、感染拡大防止のための新しい働き方が急速に普及しました。
また、同時に、孤立やコミュニケーション不足によってメンタルヘルスの問題も浮き彫りにもなりました。
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ウェルビーイングの主な取り組み
それでは、ウェルビーイングを実現するために必要な主な取り組みの例を見ていきましょう。
1. 復職支援
まずは、復職支援。
出産や育児、親の介護、その他理由によって、一定期間のブランクのある人がいます。
そのような人がスムーズに職場復帰できるよう、産業医や上司による復職支援は、ウェルビーイングを実現するために欠かせない取り組みの一つです。
復職支援があることで、休暇をとったり、休職したりする際の負担を軽減できます。
スムーズな職場復帰が見込めるようになるでしょう。
2. オフィス改革
次に、オフィス改革です。
従業員の心身の健康増進のためには、働きやすい環境を作ることも欠かせません。
従来のオフィスのあり方に囚われず、
- 個人ブースを設置する
- フリーアドレス制を導入する
- バーチャルオフィスを活用する
といった形でオフィス改革を進めていくことで、あらゆるニーズに対応しやすくなります。
コミュニケーションの活性化や作業効率や生産性の向上と言った恩恵もあるかもしれません。
3. 健康経営のための各種取り組み
また、健康経営のための各種取り組みも重要です。
例えば、
- 定期的なストレスチェックの実施
- 社内スポーツイベントの開催やクラブ活動の推進
- 専門家らによる健康増進やストレスマネジメントのための研修
などが挙げられるでしょう。
4. 社員のエンゲージメント調査
社員の幸福度や、周囲との関わり方を可視化し、より有意義にオフィス改革や制度改革を進めていくためには、社員のエンゲージメント調査も有用です。
- 気軽にできる「パルスサーベイ」
- 複数の異なる立場の人が、一人の社員を多角的な視点から評価する「360度評価」
これらを実施し、ウェルビーイングを実現するための改革に繋げていくのも良いでしょう。
【参考】「健康経営」は経営の新常識?実施するメリット4つと事例3つ
ウェルビーイングに取り組もう
企業にとっては、人材確保の際のアピールポイントの一つになります。
また、エンゲージメントが上がり、定着率が上がることに繋がります。
そして、社員にとっては、心身の不調に陥り、働けなくなる事態に陥ることを防げます。
これは、自分に合ったキャリアを形成できることなど、双方にメリットがあります。
これからの時代、ますますウェルビーイングの重要性は問われることになりそう。
企業は積極的に取り組んでいきましょう。