カンパニー制とは?事業部制との違いを基本からやさしく解説

カンパニー制、という言葉を聞いたことがある人も多いかと思います。

特に、大企業に関係していれば、頻繁に耳にする言葉でもあります。

「でも、会社って、そもそもカンパニー(会社)じゃないの?」

という疑問が出て来たり、パッと聞く限り、何とも不思議な言葉ではあります。

ここでは、非常に似ている「事業部制」との違いも押さえつつ、導入の主な目的やメリット、注意点について紹介します。

【参考】ホールディングス化で組織はどうなる?一般論から総ざらい!

カンパニー制

 

カンパニー制とは?

カンパニー制とは、企業の組織形態の一つです。

ご存知の通り、カンパニー、というのは、Company(会社)。

大きな会社であれば、一つの会社が様々な事業を行っていることがありますが、この仕組みは、各事業を「カンパニー」と呼ばれる一つの採算性を管理する組織として扱い、事業を進めていくことです。

つまり、事業部を、それぞれの会社に分社化するようなもの、と覚えると良いでしょう。

よって、人材や物資、資金などの経営資源を自分達で賄うことになります。

当然、それに伴って、様々な権限やリソースを委譲されることになります。

国内では、有名どころではソニートヨタみずほFGなどがカンパニー制を導入しています。

 

事業部制との違い

よく似た組織形態の一つに「事業部制」というものがあります。

例えば、カンパニー制の場合、事業展開上の意思決定や判断は、各カンパニーの決済権者に委ねられます。

それに対し、事業部制は、経営トップの承認や判断を仰ぐ必要があります。

同じ内容を進める際に、社長決裁が必要か、カンパニー長の決済でOKか。

当然、社長決裁が必要になる方が、スピードが遅くなるのが通常でしょう。

そのため、事業部制はカンパニー制に対し、ビジネスの速度が遅くなりがちとされます。

【参考】脱ハンコを社内で推進する4つのコツと有用なツールや手法

 

カンパニー制を導入する主な目的とメリット

それでは、カンパニー制の目的とメリットについて見ていきましょう。

 

責任の所在を明らかにする

まず、大きな目的として挙げられるのが業務における責任の所在を明確にするためです。

日本企業は、外国の企業と比べて、責任の所在が曖昧にされがちと言われます。

「スタンプラリー」と揶揄されることもある稟議書を思い浮かべれば分かり易いでしょう。

皆で持ち回ってハンコを押すため、「皆が責任者」という立て付けになります。

しかし、これでは、失敗した時に誰が責任を取るのか分かりません。

稟議書が来ても、皆あまり深く考えず、シビアに評価せず、何となくハンコを押していたりします。

しかし、カンパニー制にして責任の所在を明確にするとなると、何か失敗した時は、カンパニー長の責任。

権限は委譲されますが、当然それは「責任とセット」ということになるのです。

このような状況を、カンパニー制を導入することで是正できるのです。

 

カンパニー間での競争意識を芽生えさせる

また、カンパニー間の競争を強化するという目的もあります。

採算が別になるということは、別のカンパニーがライバルになるということでもあります。

潜在的なライバルを生じさせることで、カンパニーの結束力、チームワーク、生産性の底上げを意識するようになります。

その結果、それらを統括する企業そのものが活性化するとされます。

そのため、他社に対しても、競争力の強化や差別化に繋がり易くなります。

もちろん、別事業ですので、別のカンパニー同士が競合するということではありません。

 

リーダーを育てる、独自性を高める

カンパニー制の導入にあたっては、まずその組織の統率を測り、チームの指揮を取るリーダーが必要になります。

多くの場合、事業部長クラスの人間がカンパニー長になり、より大幅な権限が委譲される形になります。

また、小規模なカンパニーであれば、より下の階層に居た人間がカンパニー長になることもあるでしょう。

カンパニー長としての実務を通じて、スキルやマネジメント力の向上に繋がります。

サラリーマンから、経営者へ向けての大きなステップとも位置づけられるでしょう。

そのため、会社全体の、次のリーダーを育てることにもなります。

 

採算性の明確化

責任の所在の明確化に近いかもしれません。

カンパニー制によって、各事業部の収支が明らかになります。

事業部制だと、本社機能や間接部門が存在し、その恩恵を多分に受けている事業部やそうでない事業部があったりして、どこがどれだけ利益が出ているのか、分かりにくいという側面がありました。

(※もちろん、管理会計上、一定の前提を置いて採算性は出すわけですが)

しかし、カンパニー制にすることにより、曖昧な側面は少なくなります。

実はこの事業が利益が出ていた、実はここは赤字だった、という意外な事実が見つかるかもしれません。

そうなると、採算が取れる事業、取れない事業の見極め、見切りをつけやすくなります。

そのような情報は、経営全体のかじ取りにも大きく寄与することでしょう。

 

カンパニー制の導入におけるリスクと注意点

カンパニー制の導入に際しては、以下のリスクと注意点も押さえる必要があります。

 

口出しし過ぎない

当然ですが、カンパニーの成否は、会社全体の成否に直結します。

そのため、軽々しく「権限移譲」とは言っても、経営トップの立場からすると「ハラハラして見てられない」ということは理解できます。

しかし、だからといって口出しし過ぎると、カンパニーの自律性がなくなってしまいます。

カンパニー長の口から、

「社長の指示だから」

といった言葉が出て来るようでは、責任の所在も曖昧なままです。

よって、あまり干渉しすぎると本来の目的である独自性を高めることが困難になります。

カンパニー制のメリットを最大限に発揮するためにも、あまり干渉しすぎないように注意しましょう。

 

不正の温床にならないようにする

カンパニー制の導入によって闘争心に火が付き、仕事に対する熱意が上がることは大変良いことです。

しかし、原因で結果や成果にこだわりすぎてしまい、社内がギスギスしてしまうことも。

場合によっては、売上の改ざん等が発生し、カンパニーが不正の温床になってしまうこともあります。

それを防ぐためにも、実施する際にはある程度の風通しを確保することも必要不可欠です。

【参考】知らないと炎上するかも?経営の新常識「ポリコレ」の重要性

 

まとめ

カンパニー制をうまく導入できれば、企業内部の活性化はもちろん、競合他社との競争にも有利に作用します。

口では簡単に言っても、なかなか難しい権限移譲。

干渉はほどほどにすること、不正が起こらないよう組織内の透明性を確保すること、この2点に注意しながら上手く進めていきましょう。

【参考】アルムナイ制度とは?導入のメリット3つと成功のポイント3つ

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