シェアードサービスとは?経営のスリム化にもってこい

「コスト削減をしつつ、業務の効率化を図りたい。」

事業に関する無駄を削減していくための方法はいくつかあります。

そして、その中でも「シェアードサービス」は非常に画期的な施策の一つと言えます。

ここでは、シェアードサービス概要やBPOとの違いを踏まえた上で、メリット、デメリットについて詳しく解説していきます。

【参考】脱ハンコを社内で推進する4つのコツと有用なツールや手法

 

シェアードサービス

 

シェアードサービスとは?

シェアードサービスとは、グループ企業や企業内の事業部ごとに存在するコーポレート機能を、一ヶ所に集約(シェアードサービスセンター、子会社を設立)させ、経営のスリム化を図る施策です。

コーポレート機能とは、主に、

  • 財務・経理
  • 総務・人事
  • 情報システム

を指します。

そして、それぞれの機能を1ヶ所にまとめて標準化することで、コスト削減や業務の効率化を図るのです。

これは、アメリカのゼネラル・エレクトリック社を起源としています。

日本でも、バブル崩壊直後からこの制度が導入されるようになりました。

 

BPOと何が違うのか

シェアードサービスと同様に、経営のスリム化を図る手段として、Business Prosess Outsorcing、通称BPOがあります。

BPOとは、企業活動における業務プロセスの一部について、業務の企画・設計から実施までを、一括して専門業者に外部委託することです。

特定の業務を1ヶ所で行うと言う点では、シェアードサービスと共通します。

しかし、

  • BPOは外部の全く関わりのない業者
  • シェアードサービスはあくまでグループ内で展開

といった違いがあります。

【参考】ワークシェアリングとは?導入するメリットや注意点を解説!

 

シェアードサービスのメリット 

まずは、どんなメリットがあるのか見ていきましょう。

 

1. コスト削減、業務の効率化

業務を集約することで、企業がそれぞれ独自に管理していたリソースや設備が共有されます。

そのため、一定のコスト削減効果を見込むことができます。

意思決定や業務指示も全て1ヶ所で完結するようになります。

無駄がなくなり全体の業務も効率化するでしょう。

 

2. 本社と異なる給与体系、雇用体系を導入できる

シェアードサービスセンターを子会社として新たに設立することで、本社や別のグループ企業とは異なる独自の給与体系や雇用体系も導入できます。

本社の給与体系が高すぎる場合は、シェアードサービスの子会社の給与体系を下げたりします。

また、非正規雇用を大勢活用するケースもあります。

その結果、人件費の効率化を図りつつこれまでの慣習に囚われない革新的な仕組みを取り入れることが出来ます。

 

3. ガバナンスの強化

シェアードサービスは、グループ内であっても、1つの独立した組織として動きます。

そのため、経営の状況がクリアになり、ガバナンスの強化も見込めます。

内部統制が強まれば、ミスや不正の防止、責任範囲の明確化など、グループ全体にプラスな影響を及ぼすでしょう。

【参考】ダイバーシティ&インクルージョンとは?先進的な企業の常識

 

シェアードサービスのデメリット

次に、デメリットについて見ていきましょう。

 

1. 何かあった時に連携が取りにくくなる

まず、緊急時など何かあった時に連携が取りにくくなることがあります。

グループ企業ごとにすべてコーポレート機能が揃っていれば、すぐ問い合わせたり問題に対処したりできます。

しかし、シェアードサービスの場合、組織を跨ぐことになります。

そのため、何をするにも時間がかかってしまうことがあります。

 

2. グループ規模が大きいほど、費用や開発時間がかかる

大企業など、元からグループ企業がたくさんあり、その規模が大きい場合、コーポレート機能を1ヶ所に集約しようとするとそれだけ多くの費用と時間がかかります。

実質的に一つの会社を作ることと変わらないため、登記の登録手続きなどの手間も発生します。

考えようによっては、「組織が更に複雑になる」とも言えます。

【参考】ボトムアップ経営とトップダウン経営の違いや特徴を徹底比較

 

シェアードサービスの成功事例

それでは、シェアードサービスを実際に導入している国内の事例をいくつか紹介します。

 

1. 日産自動車

自動車生産、販売大手の日産自動車

経理、IT、人事、その他、間接業務を担うシェアードサービスセンターを都内を拠点に、全国に6つ構えています。

間接業務を分けることで、本業に専念しやすい体制が作られました。

更に、間接業務全体において約4割の業務時間の削減に成功しています。

 

2. NEC

主にインターネット事業を手がけるNEC

こちらも、シェアードサービスを導入したことで成功を収めた事例の一つです。

同社は、なんと、「46」もの連結するグループ会社から成っています。

事務手続きを始めとする多くの業務のプロセスや制度が、各社で異なっているという課題がありました。

しかし、シェアードサービスを導入することでそれらが集約され、30%もの事務手続きの作業工数を削減しました。

【参考】アウトソーシング?内製化?メリット、デメリットを基本から

 

シェアードサービスを検討しよう

シェアードサービスを実現することで、経営をスリム化できるだけでなく、ガバナンス意識が強化されます。

そのため、不正の防止につながったり、従業員一人一人のモチベーションが上がったりと多くのメリットを期待できます。

BPOとどちらが良いのか比較しつつ、じっくり検討していきましょう。

【参考】IT業界の人は特に注意!差別をなくすInclusive Namingとは?

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