目的を達成や、成果を上げるために仕事に熱中することは決して悪いことではありません。
しかし、何でもそうですが、熱中しすぎることには、思わぬリスクが伴います。
厚生労働省も、長期間労働削減に向けた取り組みとして、ワーカホリックに対する注意喚起を行っています。
ここでは、働く人に関する特有の問題であるワーカホリックについて、それになりやすい人の特徴や予防法を紹介していきます。
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ワーカホリックとは?
ワーカホリック(workaholic)とは、仕事中毒、仕事依存症とも呼ばれます。
仕事をしていないと落ち着かない、不安になる、といった精神状態や錯覚に陥ることです。
傍から見ると、ただの仕事熱心な人、頑張り屋と思われることが多いもの。
しかし、仕事にのみ没頭してしまうため、
- 家庭やプライベートでの人間関係に支障を来す
- 健康を害する
といったリスクを伴うこともあるのです。
また、深刻化すると、「仕事に関係ない人や事柄、時間は全て無駄」と思い込むことも。
更に、無気力に陥ることもあるため、軽視してはいけません。
なぜそのような精神状態に陥ってしまうのかは、その人の性質や置かれている環境によっても異なるでしょう。
しかし、多くの場合、
- 周囲の期待に応えたい
- 成果を残したい
といった一種の強迫観念によって無自覚に引き起こされるものとされています。
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ワーカホリックになりやすい人の特徴
ワーカホリックには、業種や年齢、性別問わず誰しもなる可能性があります。
しかし、以下のような性質、特徴がある人はよりワーカホリックになりやすいとされ、注意が必要です。
1、責任感が強く、リーダーや経営者など人の上に立つ人
もともと責任感が強く、責任を負う立場に就いている人です。
- 組織内である程度の権限が与えられている役職に就いている人
- チームのリーダー
- 経営者
にワーカホリックが多いとされています。
立場上、仕事に対するプレッシャーや責任が大きくなり、労働時間も多くなりがち。
よって、精神的、肉体的負担が他の社員よりも大きいのです。
2、プライドが高く、NOと言えない人
役職に就いていなても、
- プライドが高くNOと言えない人
- 貢献意識が高い人
も要注意です。
他人の期待に応えたい、失望させまいとして無理な仕事でも受け入れてしまいます。
心身に大きな負担が掛かっていることに気付かずに仕事に没頭してしまうためです。
また、周囲が特定の個人に対して過度な期待をかけてしまったばかりに、ワーカホリックに追い込んでしまった、ということもあります。
3、完璧主義者で自分に厳しい人
- タスクやノルマなどを完璧に全うしないと気が済まない人
- 自分に対して厳しい人
このような人達も、ワーカホリックになりやすいとされています。
何かを達成した、もしくは最大限力を発揮できた瞬間に達成感や快感を感じられます、
しかし、そこに至るまでの過程で周りや自分が見えなくなりがちです。
ついつい仕事だけに没頭してしまい、ワーカホリックになっていることに気付きにくくなります。
4、几帳面、真面目な人
- もともと繊細で几帳面な性格をしている人
- 何事に対しても真面目すぎる人
も、他の人よりもワーカホリックになりやすいです。
たとえば、仕事で失敗した時や現在進行中のプロジェクトがある際、職場から離れたプライベートの時間でも常に仕事のことが気になって止まず、ついつい仕事をしてしまうといった症状は、ワーカホリックの人の典型的な行動パターンの一つです。
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ワーカホリックを予防する方法
ワーカホリックを予防するためには、
- 個人でするべきケア
- 周囲によるケア
の2つがあります。
具体的な方法についてみていきましょう。
仕事以外の趣味を持つ
まず、心がけたいことは、仕事の他に没頭できる趣味を持つことです。
仕事を趣味にすることが決して悪いわけではありません。
しかし、心身を休ませ、リフレッシュするためにも、気分転換できる何かがあった方が良いものです。
仕事が上手くいっている内はよいですが、躓いた時に逃げ場がなくなります。
「リフレッシュして頭を切り替えたら、スランプから脱出できた」という経験を持っている人も多いはず。
ワーカホリックになると、視野が狭くなってしまい、そのようなことが出来なくなります。
ちょっとした時間で楽しめる何かを見出すことで、いざという時の避難場所が確保できます。
何をしたら良いかわからない場合は、有給を取るなどして、仕事から距離をとることを意識してみましょう。
頭痛、不眠など体の不調を見逃さない
ワーカホリックやそれに近い精神状態に陥ると、
- 偏頭痛がする
- 急に眠れなくなったりする
など、心身に何かしらのサインが現れます。
その際に、
- ただの頭痛だから
- ちょっと眠れないだけだから
と軽視せず、自分の心身の異変に気づくことが大切です。
そのまま放置してしまうと、取り返しのつかないことになる場合もあります。
おかしい、と思った時は、必ず医療機関を受診するようにしましょう。
次に、周囲が出来るケアについて見ていきます。
積極的にコミュニケーションを取り異変に気付いてあげる
ワーカーホリックに陥っている人は、そもそもそれを自覚していないケースが大半。
よって、対策を打つなら、周囲がそれを察知して指摘しなければなりません。
そのためにも日頃から積極的にコミュニケーションを取り、異変があると感じたら、指摘してあげることが大切です。
特に、部下の状況にはよく気を配り、何でも話せる間柄にしておくことが重要です。
カウンセリングや専門医への受診を促す
たとえ、社員の異変に気づけたとしても、対処しきれないこともあります。
そのような時には、カウンセリングや心療内科などの専門家にかかるよう促したり、指示することも重要です。
勤務時間が一定時間を超えたら、産業医との面談がセットされている会社もあるかもしれませんね。
(※筆者が以前勤めていた会社では、そのような仕組みがありました)
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まとめ
ワーカホリックの人は、働くことに快感を覚え、逆に何もしていない状態の時に、イライラやストレスを感じてしまうこともあるのだとか。
よって、自分ではなかなか異常だと気づきにくいもの。
また、周囲の目の届かないところでも仕事をしているケースが多く、周りがそれを気づけないことも珍しくないのです。
自分自身で対処するのはなかなか難しいため、周囲の人間が早くその兆候を察知し、サポートしてあげることが、予防策として重要です。