ステマ、正式名称、ステルスマーケティングについて聞いたことがある人は多いでしょう。
特にSNSでは、ネガティブな意味合いで使われる、しばしば目にする言葉。
「聞いたことあるけど、どういう意味なんだろう?」と思うでしょうか。
それとも、意味は知っていて、
「大企業もやってるし…」
「バレなければ大丈夫!」
と思っている方もいるでしょうか。
実はこの「ステマ」行為、知らずにやっていると、実は大きな損害を被る可能性があります。
ここでは、Webマーケティングに携わるなら知らないとマズイ「ステマ」について、その意味や該当する行為、危険性について解説していきます。
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ステマとは?
ステマとは、ステルスマーケティングの略称。
消費者に、宣伝活動であることを意図的に隠し、それを悟られないようにセールスプロモーションを行うことです。
本来、広告を掲載する際にはそれが広告であることを明示する義務があります。
しかし、それをせず、
- 中立的な立場であることを装いながら
- 消費者に良い印象を植え付けようとする
- 購買に誘導する
といった行為がステマとなります。
主なステマ行為
ステマに該当する代表的な行為には、「サクラ」や「やらせ」が挙げられるでしょう。
これらは、企業に雇われた人間が、中立的な一般ユーザーを装うもの。
- 行列に並ばせて商品を購入させる
- 良い口コミを広める
といったことをします。
Webの世界では、タイアップであることを隠し、インフルエンサーや著名人に宣伝してもらう行為がそれに該当します。
ステマは以前から業界問わず頻繁に行われていた手法。
しかし、近年、SNSの普及によって、インフルエンサーやアンバサダーなどを起用したマーケティングが活発に行われるようになり、再び注目されるようになりました。
ステマの違法性
ステマは、中立性を装いながら、ユーザーを騙す行為に他なりません。
これは、社会通念上許されない、モラルに反する悪質な行為とみなされます。
しかし一方で、線引きが難しい側面もあるのも事実。
ステマそのものを取り締まるための法律や規制は、現時点(2023年)では、存在しません。
それが明るみに出れば、社会的制裁を受けることになります。
しかし、ステマ行為をしたからといって、直ちに法的に罰せられるわけではありません。
そもそも認知されなかったり、グレーゾーンのまま放置されるているものも少なくないのです。
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ステマの主な事例
それでは、過去に世間を騒がせたステマの事例についていくつか見ていきましょう。
ソニーゲートキーパー事件
ソニーゲートキーパー事件とは、2004年に起こった事件。
当時、ソニーの人気ゲーム「PSP」と、激しいシェア争いを繰り広げていた、任天堂のゲーム機、「NINTENDO DS」。
ここで、ソニーの社員が一般ユーザーになりすまし、NINTENDO DS関する悪評を複数のネット掲示板で拡散した事件です。
不審に思ったブロガーらがドメイン名を調べたところ、ソニー社内のIPアドレスが浮上。
なりすましが発覚したという事件でした。
当時、ソニーの企業としての評判を著しく傷つけた事件となりました。
食べログ事件
大手グルメサイトの食べログ。
ここでも、サイト上に掲載されていた複数の店舗が、ステマを行っていました。
業者を雇って、不当に店の評価を上げる書き込みをしていたのです。
この事件をきっかけにサイトの運営元である食べログは、このような行為を防ぐために店側の評価点数を採算するアルゴリズムを改訂するなどの対策を取りました。
ペニーオークション事件
記憶にも新しいステマ事件として語られる、2012年のペニーオークション事件が挙げられます。
オークションサイト、「ペニーオークション」の経営陣が、サイト内で架空の取引を行い、不当に売上を得ていたという事件。
これも、関係者は逮捕されています。
また、事件はこれだけでは収束しませんでした。
当時多くのメディアで活躍していた著名人が運営元から金銭を受け取りステマ行為に関与していたことが発覚。
中には、活動自粛に追い込まれる芸能人まで出ました。
「ステマ」という言葉が世に広まるきっかけとなった事件の一つです。
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ステマの危険性、弊害
「ばれなきゃ大丈夫」という甘い認識で安易にステマ行為をしたり、それを請け負っている業者と関わったりしてしまうと、多くのリスクを被ることになります。
企業の信頼が失われる
自社の商品やサービスをより良く見せたい、知ってもらいたいという動機は誰もが持っているもの。
しかし、ステマ行為は消費者を騙す行為に他なりません。
明るみに出た途端、信頼が一気に失われる要因になります。
その結果、
固定客が離れ売上が落ちる
他社との取引が中止される
といったことが起こり得ます。
たとえ再発防止を徹底しても、その行為は長くネット上に残ってしまいます。
そうすると、企業の成長に著しく悪影響を及ぼすこともあるでしょう。
炎上のリスク、風評被害の発生
SNSが発達している今の時代、ステマ行為を始めとする企業の不祥事は瞬く間にネット上で拡散、共有されます。
自社だけでなく、
- 広告のために起用した著名人やその事務所
- 行為には関係のない健全な経営をしている類似の取引先
- 関係するその他の事業者
にも、その火の粉が及ぶこともあります。
安易な気持ちでステマ行為をすると思わぬ場所まで風評被害を与えてしまうのです。
景品表示法違反で刑事罰が課されることもある
行為の内容があまりにも悪質な場合には景品表示法などの法律違反になります。
最悪の場合、刑事罰を課されるケースもあるのです。
景品表示法に違反したことが明るみに出ると、実際に商品やサービスを購入したユーザーから賠償請求される可能性があります。
また、消費者庁からも、措置命令が届くでしょう。
その際、弁明できなかったり、措置命令に従わなかったりすると、2年以下の懲役または300万円以下の罰金に処されます。
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ステマ行為は厳に慎もう
法に触れないからといって、ステマは消費者を騙す不誠実な行為に違いありません。
経営陣にその意思がなくても、社員がステマ行為をしてしまう可能性もあります。
社員に対して、ステマ行為をしないよう周知徹底し、消費者に対して誠実なビジネスをするよう心がけましょう。