起業家なら知っておくべきベンチャーキャピタルのタイプ5つ

手元に素晴らしいサービスやアイディアがある。

ニーズも大きそうで、既存顧客の評判も上々。

これはいける!という手応えを感じている。

でも、人手が足りないし、広告費も足りないし、オフィスも狭過ぎてもう限界。

銀行からは目一杯借りてるけど、資金が足りない。一体どうすれば?

そんな時、頼りになるのが、ベンチャーキャピタル。

若手起業家、もしくはこれから起業を検討されている方にとって、たいへん重要な存在です。

事業がまだ軌道に乗っていないが、事業を大きく成長させるための資金をどうしても調達しなければならないスタートアップにとって、ベンチャーキャピタルが投下してくれる資金は非常に有難いものです。

しかしながら、ベンチャーキャピタルと一括りでいっても、その種類は様々。

どんなタイプがあって、それぞれがどのような特徴を持っているのか、よく知らない人も多いのではないかと思います。

この記事では、ベンチャーキャピタルの概要と5つのタイプ、それぞれ特徴について解説していきます。

【参考】ベンチャーキャピタルへのアプローチ方法と主要な探し方3つ

ベンチャーキャピタルのタイプ

 

ベンチャーキャピタルとは?

ベンチャーキャピタル(Venture Capital、以下VC)とは、有望で将来の成長や発展が十分見込める事業に対して出資をする企業や組織を指します。

国内にあるVCの多くは、JVCA、一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会の会員であり、将来性のある企業に資金提供をすることで、日本の経済発展に貢献しています。

メルカリやココナラといった、多くのベンチャー企業が、その成長過程において、ベンチャーキャピタルからの資金供給を受けています。

もちろん、資金提供といっても、何の見返りもなく単に資金だけ出すということではなく、ベンチャーキャピタルは「投資」をします。

投資は、融資と異なり、ハイリスクと引き換えにハイリターンを期待するのが一般的です。

銀行をはじめとする金融機関は、一般的に「融資」をします。

「融資」は、ローリスクである代わりに、ローリターンであるのが通例です。

【参考】資本性ローンとは?融資と出資の良いとこ取りの裏技的調達!

日本ベンチャーキャピタル協会

 

ベンチャーキャピタルの種類

VCには大きく分けて、①事業会社系、②独立系、③金融機関系、④政府機関系、そして⑤大学系の5種類あります。

それぞれについて見ていきましょう。

 

①事業会社系VC

投資を本業としていない事業会社が、自社の事業にとって有益な存在になりうるベンチャー企業に対し投資すること、もしくは、傘下の投資子会社などを指して、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)と呼ばれます。

資金の出所は、基本的に親会社で、償還期限が無いというケースも少なくないため、出資を受ける側は「すぐにIPO(株式上場)しろ、M&Aしろ」という圧力を受けるリスクが少ないのが魅力です。

しかし、CVCからは、親会社の事業との関連性や、事業面での相乗効果を求められることも少なくありません。

あまり大きな持分を持たれてしまうと、”色付き”の会社だとみられてしまう可能性もあり、取引先の開拓に支障を来す可能性もあります。

(※”色付き”の会社:大企業のグループ会社や、系列の会社)

その一方で、CVCに大きな持分を持ってもらえば、ピンチの局面で融資をしてくれる等、財務面で面倒を見てくれるようになることも多く、経営は安定する可能性が高まります

そのようなケースでは、中長期的にはM&Aされるということも、視野に入ってくるでしょう。

代表的なCVCとしては、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ(伊藤忠商事系)、YJキャピタル(ヤフージャパン系)が挙げられます。

近年は、上記以外でも、多数の事業会社がCVCを設立したり、直接ベンチャー企業に投資したりしています。

 

②独立系VC

元起業家や、投資家、投資のプロフェッショナル等が独立して立ち上げたVCを指します。

投資領域が決まっていることも多いですが、様々な投資家から資金を集めてファンドを立ち上げ、純投資として、つまり、投資に対する金銭的なリターンを追求して投資をするのが一般的です。

元々どこかのVCに所属していた、経験豊富で腕利きの投資のプロ達が集まっていることが多く、企業経営上のノウハウを得られることも多いため、若手起業家にとっては、貴重なアドバイスがもらえる心強い存在になるかもしれません。

しかし、ファンドに償還期限(いつまでに、ファンドとしてリターンを出さねばならない)があることが一般的であるため、長期的な目線で投資をしてくれるとは限りません。

そのため、IPOを急かされたり、事業の進捗が思うようにいかない場合にはM&Aしろ(他社に買収されろ)と言われたり、様々な圧力をかけられることがあります。

代表例として、グロービス・キャピタル・パートナーズや、コーラルキャピタルなどが挙げられます。

 

③金融機関系VC

銀行や証券会社などの、金融機関が設立したVCです。

多くの場合、金融機関の子会社になっています。

VCの多くは都心に集中していますが、金融機関系VCの場合は、地方にも地方銀行が設立したVCがあります。

静岡キャピタルや北海道の北洋キャピタルなど、大抵の都道府県に地方銀行系のVCがあります。

地方銀行系のVCは、その地域の経済発展や地域創生に貢献し得る事業であることや、本社の所在地が重要視されたりします。

都市銀行系では、みずほ銀行系のみずほキャピタル、三菱UFJ銀行系の三菱UFJキャピタルがあります。

証券会社では、野村証券系のジャフコや、大和証券系の大和企業投資、生命保険会社ではニッセイキャピタル、三井住友海上キャピタルが有名です。

親会社とは全く関係ないような社名であったとしても、実は金融機関の子会社のVCだった、ということもよくあります。

 

④政府機関系VC

政府や地方公共団体によって設立されたVCです。

起業や投資の有識者たちが集まり、日本の技術力の向上、グローバル化の推進を目的とし、優れた技術力のあるベンチャー企業や中小企業を中心に出資します。

ファンドの財源が税金であることも多いため、多くのリターンが見込めるということももちろん、グローバル化や技術力の向上など、国の方針に寄与することが大義名分になるということもあります

代表的なのは、日本政策投資銀行の子会社であるDBJキャピタルや、産業革新機構、クールジャパン機構などです。

 

⑤大学系VC

大学がベンチャーキャピタルを運営していることがあります。

大学の出身者が経営しているベンチャー企業であることや、大学の研究と何かしら関係性のある事業であることが求められる、というのが一般的です。

東京大学エッジキャピタルパートナーズや、慶應イノベーション・イニシアティブなどがあります。

【参考】ベンチャーキャピタルの魅力と注意点を知り上手に付き合おう

 

まとめ

VCの種類によって出資する目的や条件が若干異なるため、利用を検討する際には事前にそれらを見極める必要があります。

多くのVCが存在するため、片っ端からアプローチしていても、非効率的です。

話をしようとしているVCがどのようなバックグラウンドを持っているのか、どのような特徴があるのか、慎重に見極めながら話を進めたいものです。

【参考】ベンチャーキャピタルから出資を受けるまでの5つのプロセス

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