起業するにあたって、オフィスを借りることを検討する方も少なくないでしょう。
優良な物件を選ぶに越したことはありませんが、都心ともなるとオフィスを借りるだけでも多くのコストと手間を費やすことになります。
そして、このご時世、働き方が多様化しているように、オフィスの在り方も多様化してきています。
少しでも快適な環境で事業を始めるためにも、ここでは、知っておくべき起業家向けオフィス選びの基準や、おすすめのオフィスの種類を紹介します。
起業家向けオフィスを選ぶ際の基準
まずは、起業する際に最低限押さえておくべきオフィス選びの基準、ポイントを見ていきましょう。
①初期費用、固定費
物件の契約料や設備投資費、その他事業を始めるために必要なコストが初期費用です。
特に、敷金や保証金は、月額家賃の6ヶ月や12ヶ月、場合によってはそれ以上の金額が出ていくので注意が必要です。
何事もなければ返還されるものではありますが、創業間もない段階においては手痛い出費となります。
また、毎月かかる家賃や光熱費などの固定費も場合によっては、事業の収益性に重くのしかかってくることでしょう。
広さ
社員の数や設置するオフィス家具、OA機器、その他設備の数や大きさを考慮し、オフィスの適切な広さを決めます。
広いに越したことはありませんが、デッドスペースがあるとその分固定費が無駄になってしまうため気をつけましょう。
無駄をなくすコツは、「従業員1名あたり」に換算してみることです。
1人がどれくらいのスペースを使うことになり、1人あたりに換算して賃料がいくらかかるのか。
これを念頭に置きながら、最適な広さを模索していくと良いでしょう。
立地
どこにオフィスを構えるか、その立地も、取引先に出向いたり客を招き入れる際に重要なポイントです。
例えば、東京を見ると、
- IT系なら投資家や取引先も多い渋谷周辺
- 広告系なら電通が近い新橋汐留周辺
- 通信系なら総務省が近い赤坂・溜池山王周辺
- 人材系なら関東広域から登録者を集めやすい新宿周辺
といったように、業種業態によって、同業他社が集まっているエリアがあったりします。
そのようなエリアは、もちろん理由があって集まっているものなので、一度情報を集めて検討してみるのをおススメします。
外観、機能性、設備
オフィスの外観は、会社の第一印象を大きく左右することから、慎重に選ぶ必要があります。
オフィスがボロボロだと、「この会社は大丈夫か」と思ってしまうもの。
また、優秀な人ほど、イケてるオフィスで働きたいとおもうもの。あまりにオフィスがボロだと、採用も難しくなってしまいます。
恥ずかしくない、そして事業に最適と言える物件を選ぶのが良いでしょう。
法人登記の可否
オフィスの種類によっては法人登記ができない、もしくは手続きに時間を要するものもあります。
特に他の事業者との共有型のオフィスを選ぶ際には必ずその可否をチェックします。
セキュリティ、プライバシー保護が十分か
フロアや個室単位で物件を借りる際にも、他の法人、事業者らとの共有部分があったりすると、セキュリティやプライバシー保護のための対策や工夫が施されているか、という点を考慮する必要があります。
起業家向けオフィスのおすすめ5選(都市部)
それでは、都心で起業する際におすすめの起業家向けオフィスのタイプについて5つ紹介していきます。
①レンタルオフィス
レンタルオフィスとは、デスク、イス、PC、コピー機、Wi-Fiなど仕事に必要な最低限の設備や備品があらかじめ用意されている物件です。
一人で利用できる個室タイプのものから、数十名から利用できるフロアタイプなど多様な種類があり、基本的に月単位での契約、利用が可能です。
通常のオフィスだと2年契約が基本だったり、高額な敷金礼金を払わねばならなかったりしますが、レンタルオフィスの場合は、初期費用を大幅に抑えることができます。
法人、個人、士業、いずれにも対応しており、スムーズに事業開始できるのも大きな魅力です。
一方で、その利便性やビジネスモデルゆえにに利用料は若干割高かもしれません。
また他の事業者と同時に施設を利用する機会もあることから、情報漏洩のリスクが少なからず発生します。
少々お値段張りますが、サーブコープやRegisが有名どころです。
②シェアオフィス
シェアオフィスとは、複数の異なる事業者が一つの空間、物件をシェアしながら働くことを目的にしたオフィスの形態です。
固定席がないフリーアドレス方式が取られているケースがほとんどで、設備や性能の良いオフィス機器を割安で利用でき、他の事業者との交流も図りながら働けるのが最大の魅力です。
しかし、その分情報漏洩やプライバシー保護の観点から問題が生じやすいため注意が必要となります。
WeWorkなどが代表的と言えるかもしれません。
③バーチャルオフィス
バーチャルオフィスとは、事務所、オフィスとしての「機能」のみを提供している事業者、もしくはそのシステムを意味します。
【参考】バーチャルオフィスを使うメリット4つや利用のポイント3つ
実際の業務は自宅など別の場所で行い、郵便物の受け取りや転送、電話対応、会議室の貸し出しなどのサービスを利用します。
オフィスで業務をすることを想定していないがゆえ、「バーチャル」と称されます。
低予算で立地の良い場所に会社の住所を設置することができる、自宅の住所や電話番号を公にする必要がないため、プライバシーを守ることができる、といったことが最大の魅力です。
安いところであれば、月額数千円から使うこともできます。
全ての業種がバーチャルオフィスで開業できるわけではないため、その点を事前に確認しましょう。
④インキュベーションオフィス
インキュベーションオフィスとは、主に自治体など公的機関や、スタートアップとの協業を促進したいと考えている大企業が運営する、会社を設立したり事業拡大したりする事業者を支援、サポートするための施設です。
経営スキルが未熟でも手厚い支援を受けられたり、他の事業者と交流したりできるため効率よく事業展開を進めたい方におすすめです。
しかし、インキュベーションオフィスは場所が限られており、利用するためにも所定の審査に通る必要があるため利便性やスピードを重視する方にはおすすめしにくいところです。
⑤自宅兼オフィス
わざわざオフィスを借りなくても自宅の一部を仕事場として活用すれば起業することは可能です。
特に個人事業の場合は自宅をオフィスと兼用するケースが多く、通勤する必要がない、家事、育児との両立がしやすいといった魅力があります。
しかし、公私混同してメリハリがなくなる、賃貸の場合には法人登記できないケースもあるため注意が必要です。
まとめ
どこに、どんなオフィスを構えるかは事業の将来に影響する一つの要素です。
どんな種類があるのかということはもちろんのこと、それぞれの強み、弱みを予め把握した上で最適なオフィスを選びましょう。