分散型オフィスとは?設置のメリットや運営に必要なこと

分散型オフィス制度を始めるケースが増えてきています。

一つの企業が、複数の拠点、ワークスペースを設けるこの制度。

リモートワークが普及してきたこの時代ならではの動きかもしれません。

ここでは、分散型オフィスの概要を踏まえた上で、従来の経営スタイルと比べながら、そのメリットと、施策を実行する上で必要なことについて解説します。

【参考】バーチャルオフィスを使うメリット4つや利用のポイント3つ

 

分散型オフィス

 

分散型オフィスとは?

分散型オフィスとは、本社オフィスとは別の、本社オフィスと同等の機能を有するオフィス空間を活用し、複数のオフィス間で業務を行える体制を意味します。

その「オフィス空間」としては、レンタルオフィスやサテライトオフィスなど、物理的な施設を指すこともあります。

しかし、「oVice」と呼ばれるサービスなど、クラウド上に作り上げる仮想のワークスペースを指すこともあります。

従来、一般的であったのは、本社集中型と呼ばれる、一つのオフィスに社員が集まって働くというスタイル。

しかし、近年、これは見直されつつあるとされます。

特にコロナ禍におけるリモートワークの推進や、働き方改革に乗じて、オフィスそのものの意義が問われるようになった昨今。

分散型オフィスによる企業運営が注目を集めるのにも、理由があるのです。

【参考】オフィス移転の準備は何が必要?手続きや段取りを丁寧に解説

 

分散型オフィスを設置するメリット

それでは、分散型オフィスを設置することで期待できるメリットについて見ていきます。

 

1. 交通費、人件費を削減できる

  • 本社とは別の拠点を設立する
  • 仮想のワークスペースを構築する

これには、当然ですが、ある程度の初期費用がかかります。

しかし、長いスパンで見れば、削減できるコストも多いでしょう。

  • 交通費
  • 人件費
  • その他のランニングコスト

の削減につながります。

  • 本社の規模を小さくし、物価の安い郊外にオフィスを構える
  • 出勤の必要のない仮想空間にワークスペースを作り上げる

といったことで、企業のコスト負担が減ります。

また、従業員にとっての利便性もアップするでしょう。


2. 採用でアプローチできる人材の幅が広がる

分散型オフィスを構えることで、採用面でも、アプローチできる人材の幅が広がります。

特に本社や支社が都市部に集中している企業の場合、地方の国立大学生など優秀な人材を発掘するために、多くの手間を要することになります。

最近、オンライン説明会やオンライン面接を実施する企業が増えてきており、状況は変わりつつあります。

しかし、いざ採用しても、引越や通勤など利便性の観点から辞退されてしまうケースも

オフィスを分散し、拠点を各地に設けることで、そのリスクも回避できるのです。

 

3. 従業員の働きやすさを向上できる

分散型オフィスを設置しするためには、リモートワークの実施が必須となります。

リモートワークの実施により、

  • 通退勤のストレスや時間の無駄を削減できる
  • 子育てしながら働く女性従業員にとっての働きやすさがアップする

といったメリットがあります。

 

4. BCP対策になる

仕事する拠点が1か所だと、自然災害等が発生した際、事業が停止する可能性があります。

しかし、オフィスをあらかじめ分散させておけば、そのリスクは減らせます。

たとえどこかの拠点が不測の事態に巻き込まれた場合でも、残りの拠点で事業が継続できます。

つまり、BCP、事業継続計画の対策にもなるのです。

【参考】オフィス移転して後悔?よくある失敗例4つと対策4つを紹介

 

分散型オフィスの運営に必要なこと

分散型オフィス運営の場合、新しい取り組みに順応しやすいもの。

若手社員の多いベンチャー企業などでは特に問題なく始められます。

一方で、

  • 従業員の規模があまりに大きい
  • 年配社員が多い

といった大企業では、なかなかスムーズに進まないことがあります。

そこで、分散型オフィス運営を始める上で必要なことについていくつか見ていきましょう。

 

1. ペーパレス化を推進する

分散型オフィスを設置し、拠点を複数にする場合、オンラインでのやり取りが中心になります

書類を郵送しながらやり取りするのは、手間がかかり過ぎてしまうでしょう。

そのため、ペーパーレス化も同時進行で推進し、オンラインの決裁、承認など、非対面での業務推進に慣れる必要があります。

 

2. チャットツールなどコミュニケーション手段を確保する

意思決定以外にも、

  • 業務連絡
  • 上司から部下への指示
  • その他同僚同士のコミュニケーション

も、分散型オフィスの場合では変わってきます。

その際、ビジネスチャットツールや、各種ITツールを用いて意思疎通を図ることになります。

もちろん、それらに慣れている社員と、慣れていない社員とでは、効率に大きな差が生じます。

意思疎通はもちろん、指示がしっかりと伝わらなくなってしまう恐れもあるでしょう。

よって、それらツールに慣れさせ、コミュニケーション手段を拡充させることも必要です。

 

3. フリーアドレスやリモートワークを導入する

分散型オフィスの場合、日によって、オフィスで仕事するか、自宅からリモートで仕事したりするかが変わってきます。

そのため、従業員にとっての特定の仕事場、定位置という概念が自然と薄れます。

それに慣れていないと、環境の変化によってパフォーマンスが下がってしまうこともあるでしょう。

まずはフリーアドレスやリモートワークを試験的に導入し、慣れさせることも重要です。

【参考】よし起業だ!都市部での起業家向け、オフィスの種類や選び方

 

分散型オフィスを上手く活用しよう

会社は、社員が一つのオフィスに集まって働くもの、という考え方は近年見直されつつあります。

それに伴い、組織のあり方についても企業は考えていかなければなりません。

もちろん分散型オフィスが、あらゆる企業にとって有意義な施策とは限りません。

しかし、時代やニーズに合った形態で運営をしていくことがこれからの時代、企業に求められることの一つです。

よく検討して、上手く活用していきましょう。

【参考】無人店舗が当然の時代到来?メリットや課題を事例と共に解説

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