【仮差押実行編】業務委託料の未払分を裁判で回収した話(その4)

この話は、当社(H社)が、とある会社(C社)による業務委託料の不払いを契機に、仮差押から簡易裁判へと進み、勝訴判決を勝ち取ったストーリー。

初めから読みたい方は、こちらから。

 

 

いざ、「仮差押え」へ!

債権の金額が140万円以上であれば、大阪地方裁判所の案件になります。

しかし、今回は、140万円には達しないため、大阪簡易裁判所の管轄となります。

 

大阪簡易裁判所に電話をかけ、

「業務委託の売上債権の回収のために仮差押えを検討している。」

と伝えると、担当部署に繋いでくれて、色々と話を聞かせてくれます。

 

しかし、

「債権回収?業務委託?口座の仮差押さえ?そんなのほとんど認められないですよ。」

「え?弁護士先生に頼まないで本人訴訟でやるの?頼んだ方がいいと思いますよ。」

と、露骨に冷たい対応。

 

不安になりましたが、そこはグッとこらえて。

冷静に、どんな資料を準備すればよいのか、どこに送付すればよいのか、等々確認します。

 

申立書とその付属書類

  • 「債権仮差押命令申立書」
  • 「当事者目録」
  • 「請求債権目録」
  • 「仮差押債権目録」
  • 「第三債務者に対する陳述催告の申立書」
  • (第三債務者~申立書に対する)「当事者目録」

等、計15ページに及ぶ書類をネットで調べながら作成。

フォーマットは裁判所のWebに落ちているので、それを拾って作成しました。

これは、弁護士に頼らなくても、自分でできます。

 

準備・作成した疎明資料

そして、「疎明資料」という、主張を裏付ける証拠資料も、かき集めて揃えます。

  • 業務委託契約書(約6ページ)
  • Facebook Messenger会話履歴(約200ページ)
  • 委託業務の成果物(約100ページ)
  • 不動産全部履歴事項証明書(土地、建物の登記情報)
  • 請求書一式
  • 報告書(経緯の説明文書)
  • 金融機関の支店・口座情報
  • 預貯金等の内訳書(税務申告書の抜粋)
  • 資格証明書(全部履歴事項証明書)
  • 陳述催告の申立書
  • 切手(約1万円分)

証拠になりそうなものは、全てかき集めました。

なので、「Facebook Messenger会話履歴(約200ページ)」

なんかも、地道に印刷して、書面として準備するのです。

当然、かなりのボリュームになります。

しかし、めげることなく全て印刷して、レターパックで裁判所に郵送しました。

 

裁判所に書類を送ってから

郵送先は、簡易裁判所の「保全部」というところになります。

そして裁判所に書類を送ると、担当(書記官)がつきます。

書類の到着後、数日たってから、裁判所から電話がかかってきました。

そしてその担当者から、色々と質問されたり、修正指示を出されたりします。

 

「これはこういう意味ですか?であれば、こう書いてください」

「ここは、このように修正してください」

 

といった感じで。

いや、もう、この修正が本当に細かい。

 

書類を一通り提出した後で電話して、書記官に、

「本件、仮差押え、認められそうですかね~」と聞くと、

「うーん、裁判官の判断次第なので何とも分かりませんが」

「恐らく1週間くらいで結果が分かると思うので、お待ちください」

といった反応。

人事を尽くして天命を待つ。

とにかく、待つのみなのです。

 

裁判官に「仮差し押さえする口座を絞れ」と言われる

数日すると、今度は裁判官から電話がかかってきました。

何かというと、

「仮差し押さえ先の口座を、1つに絞れ。」

というわけです。

さて、これはどういうことか。

仮差押えをするにあたり、どこの銀行口座を差し押さえたいかということを特定しなければなりません。

つまり、仮差し押さえする口座については、事前に調べる必要があるのです。

私は、C社の財務面での支援をしていた関係で、C社の税務申告書を持っていました。

よって、どの金融機関のどの支店に口座を持っているのか、2018年の情報ではありましたが、一応把握していたのです。

これはラッキーだったと言えるかもしれません。

税務申告書を見ると、複数の金融機関、支店に、7つほど口座を持っていることが示されています。

残高がそれぞれいくらかも、記載されています。

 

「多分口座は変わっていない」と判断

「この銀行の、この口座がメインであろう」ということは概ね当たりがついていました。

しかし、あれから約5年が経過しています。

「その後、C社も色々なことがあったし、5年が経過しているし、今は全く違った状況になっているかも」

ということも、頭をよぎりました。

よって、仮差し押さえ先を、複数の口座に分散させていたのです。

仮差押さえする金額の総額以上の金額を、仮差押さえすることはできません。

よって、「恐らくこれがメインだろう」と思われるところに大半の金額を寄せて、

「可能性は高くないが、あり得るな」と思うところに、「50円」ずつ、仮差押えを張ったのです。

そして、もし、「恐らくこれがメインだろう」というところを外したら、次の口座を急いで差し押さえにいく、という算段でした。

 

しかし、裁判官曰く、

「1つの口座に絞りなさい」と。

 

つまり、仮差し押さえする口座に仮差し押さえをかけてみるまで、その口座にお金があるかどうかわからないのです。

「それはあまりにもギャンブルだな…」と思いましたが、裁判官がそう言うなら、仕方がありません。

 

一つの口座に全部張り

そして、「恐らくこれであろう」と思っていたところに、全張りすることにしました。

これは、かつて、C社が発行する請求書に記載していたメインの銀行口座です。

それから、かれこれ5年程経過しています。

その間、金融機関からマンションを取られていたり、C社には色々なことがあった5年間のはずです。

メインの銀行口座も変わっているかもしれません。

 

しかし、新しい銀行口座が開設されている可能性は低いと判断しました。

なぜなら、C社の最新の全部履歴事項証明書に記載されている住所が、5年前に追い出されたオフィスのままだったからです。

「登記内容が現状を反映していないなら、新しく銀行口座を作ることはできないはず」

そう判断し、「5年前の銀行口座をそのまま入金口座として使っている」に賭けました。

 

有り得るとすれば、C社の代表者個人の口座を使っている、ということ。

しかし、可能性は高くないだろうなと思いました。

 

ちなみに、相手の銀行口座が分からない場合、打つ手があるのかというと、あります。

弁護士を通すと、銀行に照会をかけられるらしいのです。

ただ、費用がそれなりかかってしまうらしいのが難点。

「一つの銀行(or 一つの支店?要確認)あたり、8800円がかかる」のだそうです。

 

ということで、何かしらの取引をする場合、できれば、取引先の口座について、可能な限り情報を集めておくのが望ましいと言えるでしょう。

出来れば、請求書か何かをもらっておいて、入金口座が分かると理想的ではあります。

 

「仮差押え」の手続きが着々と進む

結局、書類を差し替え、書類を裁判所に送ると、すぐに書記官から電話がかかってきました。

「供託金の納付が必要になります。金額は、仮差押額の3割前後だと思ってください」

「本来であれば大阪の方で納付してもらわなければならないのですが、、、東京にいるなら、管轄外供託の許可をもらって東京法務局の方に供託してもらうこともできます」

どうやら、仮差押えが、実行されるようです。

自分の主張が認められそうだということで、気持ちは勝訴したかのような気分です。

供託云々の話は、ちょっと面倒くさそうだなと思いました。

しかし、今度は「東京法務局」に電話をすると、これまた丁寧に教えてくれます。

 

郵送でやり取りするより、実際に訪問する方が早そうだったので、九段にある東京法務局を訪れました。

ここで、必要書類を提出したり、記入したりして、現金で30万円弱を支払うと「供託書」を受け取ることができました。

 

そしてこれを大阪簡易裁判所に送付すると、すぐに裁判所から銀行に向けて書類が発送され、仮差押が実行されるとのこと。

そして、数日後、、、

 

続きは、こちらからご覧いただけます。

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